『キングメーカー 大統領を作った男』政界とは生き馬の目を抜く所

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政治の世界はわからない、『キングメーカー 大統領を作った男』。正義だけでは割り切れない、そんな現実を突き付けてくる。それでも、政権交代のある韓国はまだましなのだろうか。一党独裁ではないけど、浄化作用の働かない日本とどうしてもくらべたくなる。

金大中、韓国民主化の象徴

第十五代大韓民国大統領、金大中

映画は、彼が大統領になる前、そうソウルオリンピック(1988)あたりで終わる。

主題は、金大中の側近で彼の躍進の原動力にもなり、敵にもなった男のお話。

クリーンな政治家金大中の闇の部分というと、間違った表現かもしれないが、とにかく彼の選挙参謀を努めて、袂を分かつ主人公。

金大中はまさに、韓国民主化の希望の星だった。

第二次世界大戦とそれに続く朝鮮戦争で、韓国は軍部と強力な繋がりのある独裁政権が長く続いていた。

今でこそ、民主化された韓国であるが、1960~1970年代の韓国を見るととても民主的国家になるなんて想像できなかった。

それだけ、独裁政権は、強権だったし暴力的でもあった。

そんな中で、金大中の存在はひときわ輝いていた

しかし、選挙戦術の中に映画の主人公のような男がいたとは。

今になって映画化できる事実だろうか。

大したものである。

韓国映画は、エンターテインメント色が強く、政治が課題の映画でも娯楽的要素を含んでることが多い。

しかし、この作品は、淡々と金大中の歩みを追いかける。

韓国映画では、めずらしい。

慶尚北道と全羅南道という地域間対立。

第二次大戦後韓国を牛耳っていたのは、慶尚北道出身者たち

その間、全羅南道の人たちは、苦汁をなめ続けてきた

全羅南道出身の金大中が、絶大な人気を得たのは、こういった地域間対立からくる開放を願った全羅南道の人々の熱狂的指示があったからに他ならない。

映画を見ていて思うのは、政治の世界は一筋縄では行かないなということ。

あの金大中でさえ、こんな葛藤を経験してたとは。

政権を取るというのは、なかなか綺麗事だけではすまない事を痛感する。

映画は、民主化選挙で、金大中が敗北するところで終わっている。

しかし、歴史の事実は、この後彼は奇跡的に復活し第十五代大韓民国大統領になるのですが。

なくならない政権側の不正

韓国民主化実現後、幾度となく与野党間で、その後政権が入れ替わるのですが。

そのたびに政権にいた者たちの不正があばかれて、服役する者あるいは、大統領経験者の自殺などなど。

まさに、やるかやられるかの様相を呈しているのですが。

それが、韓国なんだろうなと。

でも、政権の交代もなく、やりたい放題の国より、政権にいたものの不正が正されるのは、ある意味健全だと。

どちらにしても、政治というものは、人間の原罪とも言うべきものをあぶり出すのだと、つくづく考えさせられる作品であることは、間違いないです。

映画『キングメーカー 大統領を作った男』公式サイト:https://kingmaker-movie.com/

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