『ソフト/クワイエット』ワンショットで見せるスピード感とアメリカ

映画『ソフト/クワイエット』ポスター 映画館

ーネタバレを含みますー

映画『ソフト/クワイエット』人の妬みほど恐ろしいものはない、それが、全国民の中でひとかたまりで存在する社会アメリカ。米国に限らずどこでも存在するのですが、こうもはっきりと目に見える形で存在する社会も珍しい。憧れだけで語れない米国の現実。

キーワードは「プアホワイト」

教会につどうあるご婦人たちのお茶会。

彼女たちの共通点は、近年アメリカで急増中の「プアホワイト

アメリカで中流層が消滅して久しいが。

代わりに台頭してきたのが、「プアホワイト」

以前からこの地位の白人は数多く存在したのですが、近年は中流層から滑り落ちた白人が加わり、大きな塊になっております。

好景気のアメリカにかつて存在した中流層。

高学歴でなくても、家が持てて車が持てて、年金も安定していて。

そんな時代は、昔の話。

すべてではないが、「プアホワイト」の共通点

そう、自らは努力をするわけでもないのに。

成功している人が、妬ましくてしょうがない。

特にそれが、移民や黒人となると目の敵とする。

そう、K.K.K.に所属するような白人。

つまり白人至上主義者の登場となるわけで。

他の民族や移民によって自分たちは損をさせられている。

被害者意識が、強くて。

自分が、職場で恵まれないのは、移民のせいだ。

自分より先に出世した移民が、憎らしい。

自らの、力量不足には目を向けることはない。

努力することもしない。

「プアホワイト」の気持ちを上手く利用したトランプ

そんな図式が成り立つ。

いかにもプアホワイトが喜びそうな、スローガンを掲げ、アメリカ大統領に上り詰めた人。

それだけ、彼の意見に同調する人が多いということなんですが。

それは、どんなひとたちかがわかるのが、本作『ソフト/クワイエット

ワンショットという制作方法を使い。

つまり、カメラを止めずに一台で時系列のまま撮り切る制作方法。

実際には、一台のカメラでもなく、制作現場では、カットもあるのですが。

それが、あたかも一台のカメラで、カットもなしのように見せる撮り方。

まるで、舞台作品でも見てるかのようなんですが。

ワンショット撮影は、一歩間違えば駄作

なんですが、そこをギリギリ持ちこたえた本作。

ラストまで、緊張感を切らさず、走り抜けたのは流石。

しかし、教会でのお茶会から始まり、意気投合するところから事件の結末まで。

いかに、この国のプアホワイトのその思想の根強いことか。

過去の作品でも、『イージー・ライダー』なんてのがありましたね。

この場合は、白人が白人を殺害するんですが。

根底にあるのは、妬み。

都会育ちでロングヘアーでハーレーダビッドソンで、旅をする若者が、妬ましい

ただそれだけ。

アメリカ南部の閉鎖性と白人の一定の層の心模様を、見事に描いてましたね。

日本維新の会なんかも、この戦法を使うといいますか、いわゆる勝ち組だけどいつ今の地位からずり落ちるかもしれない。

そんな層のマグマを吸収して大きくなっているんでしょうか。

我々が払った高い税金で、ろくに働きもしない人の福祉に回すのは面白くない

まあ、脱線しましたが、日本も心のプアな層が広がっているのが、気になります。

とにかく『ソフト/クワイエット』御覧ください。

映画『ソフト/クワイエット』公式サイト:https://soft-quiet.com/

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