映画『フェイブルマンズ』スピルバーグが、人生を振り返るとき

映画『フェイブルマンズ』ポスター 映画館
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ーネタバレを含みますー

スピルバーグも、自らの人生を振り返る歳になったんだな。『フェイブルマンズ』それでも映画人の悲しさ、自らの素材さえドラマにしてしまう。事実はどうあれ、一人の大監督の自伝捉え、鑑賞するのも一考。映画の輝いていた時代を生きた最後の監督とともに。

前半は、つまらないドラマ、後半で帳尻を合わす。

スピルバーグの自伝的作品。

アリゾナでの幼少期から、ロスに移る青年期と映画界を目指すまでを描いています。

前半、アリゾナのお話は退屈で、安っぽいメロドラマ風。

スピルバーグも鈍ったな、なんて思ってしまうのですが。

後半で、帳尻を合わしてくるあたり流石

映画作りでいうと、オーソドックスなタイプになるのかな。

ドラマを作り込むタイプ。

その分現実感がなく、作り物感が漂う画面。

あまりにも、メークのきっちりした母親に、生活感がでてこない。

出来すぎた家庭も父親像も、不自然だ。

それでいて、後半で一気にドラマを仕上げてくるのは、流石職人技と唸らせる。

漁師

ユダヤ系という複雑さ

スピルバーグの家庭である。

日本にいると、よくわからない概念だけど、欧米ではそうではないことを、改めて感じさせる。

アリゾナでの生活では、ユダヤ系ということで差別は受けない。

ロスに移り住んで、ハイスクールでの差別は、強烈だ。

同じアメリカかと思ってしまう。

ロスでは、アリゾナほどユダヤ系が多くないのだろう。

同級生の言葉が、きつい。

イエス・キリストを殺したのはユダヤ人だろう

確かにそうなんだけど、イエスがユダヤ人のマリアから生まれ、ユダヤの系図であることも事実

ここは、反ユダヤ主義の影響と見るべきだろうか。

おそらく、ロスでは、ユダヤ人は少数派なんだろうな。

知的レベルと高学歴、財政的にも恵まれた家庭の多い、ユダヤ系。

やっかみや、嫉妬を受ける要素は、多分にある。

スピルバーグが、人生を振り返るとき

もうそんな歳に、なったのですね。

映画界に入る辺りで、物語は終わっている。

この後の続編は、できるのだろうか。

今までの、スピルバーグ作品を見てきて、この作品も、その制作方法に変わりがない。

いかにもオーソドックスな、ドラマの展開だ。

あれだけの大作、ヒット作を生み出した人に、これ以上新しいものを求めるのは、酷だろう。

その作品も、メソッドも古典の範疇に入ってきているとも感じてしまう

時は流れる、時代は、変化するとしみじみ感じてしまう。

映画『フェイブルマンズ』公式サイト:https://fabelmans-film.jp/

Bitly

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