悲しいほど切ないお話
2019 年見逃した映画シリーズ、渋谷のアップリンクにて鑑賞いたしました。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内コンペディション長編部門で最優秀作品賞と観客賞を受賞しております。
見ごたえというか、良くできた作品だとは思いますが。
しかし、この作品の内容が日本の現実かというと、多少疑問は残ります。
外国の方がこの作品を見たとしたら、これが日本の現実だと思うだろうなと考えます。
職をなくし生活の糧を失った兄妹の生活は、舌絶に尽くしがたいと言えます。
まさに、世間の冷たさというべきものが、これでもかこれでもかと兄妹を襲います。
見ているものにとっては、ただただ切ない物語と感じますが。
日本の福祉はそこまで冷たいか
確かに、助けを必要とする者に十分行き届いてるとはいえないのが現状です。
ただ、この兄妹の様な場合は十分保護の対象になると思うのですが。
この兄の場合は、身体障害者としての生活保護なりの救済の道があると思います。
また、知的障害の妹のケースは、一人にはしておけない、しかしその面倒を見るのは、身体障害の兄となると、施設で保護するという道があるように思えてなりません。
ただ、その場合あくまでこちら側から行政にアプローチしないと保護をうけることはできません。
希にご近所から、民生員に相談というケースもあるでしょう。
ですから、そういう制度があることを知らない、または申請したことがない、また申請窓口での冷たい対応にいやけがさす、また自らの窮状を上手く伝えることができない。
そういう意味では、日本の保護政策は十分に機能してるとは言いがたいですね。
この作品の伝えたいこととは
生活費がなくなり追い詰められた兄妹のとる行動。
そこには、まさに人間の生々しさや綺麗事では収まらない人間の性質が、これでもかこれでもかと描写されます。
それらを次々と描くことで人間の本質に迫ろうとしたのではないでしょうか。
平和の国日本で置き去りにされる人々。
いつ自分が、置き去りにされるかもと感じさせる作品です。
決して鑑賞していて気分の良い場面が多いとは言えませんが。
是非ともご覧になることをお勧めします。
日本映画に想うこと
あまり魅力的な作品は少ないように感じています。
洋画に比べて、見る本数が少ないということもありますが。
見てみたい作品が、少ないのも本当の話です。
たまに見てみると、題材の軽薄さというか、内容のなさばかりが目に付いて、わざわざこんなこと映画にする価値があるのか疑ってしまう作品に当たることが多く、益々、日本映画から足を遠ざけてしまいます。
しかし、そんな中にあっても本作品や、比較的予算が少なくてもアイデアで勝負を挑んでくる作品に出会うと、少なからず希望が持てます。
非正規労働者が全労働者の40%を超える現代。
そこでうごめく若者の姿、先の見えぬ不安のなかでもがく姿、そんなものをぶつけてくる作品に出会いたいものです。
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