外国旅行をするならまず台湾に行ってみたいと、そう思っている私。台湾に興味を持ったのは、ホウシャウシェンやエドワード・ヤンの映画を見てから。何か日本が失ったものがそこにあるような気がして。そんな台湾で戦前に活躍した画家「塩月桃甫」のドキュメンタリー
コロナ禍で、上映が延期されているドキュメンタリー
いきなり、あなたが知らない日本人と偉そうなこと言いましたが、もちろん私も知りませんでした。
作品は完成しているのですが、コンペに出品予定が、コンペがコロナの影響で延期。
したがって、コンペ前に一般公開すると出品できなくなるとかで。
上映が延期になっている作品です。
誠に残念な話なのですが。
一般上映と言う形ではなく、無料の上映会と言う形では、細々と上映されております。
ということで、今回銀座の東京華僑総会で上映会があり、作品を拝見することができました。
上映会関連記事:https://www.facebook.com/groups/354765851365471/posts/2189469174561787
日曜日午後4時からの上映で、7名ほどの上映会でした。
台湾は、過去50年間日本だった。
日清戦争に勝利した日本は、台湾を領土としてその後第二次世界大戦に敗戦するまで、50年間にわたり台湾を実効支配いたします。
「塩月桃甫」は、その時日本人画家として台湾に渡り、以後敗戦まで、台湾の洋画美術界の発展に大きく関わってゆきます。
日本では、その存在すらあまり知られていないのですが、台湾では知名度の高い日本人です。
彼の大きな功績は、台湾美術界の指導ももちろんですが、日本人としてほぼ初めて、台湾原住民を描いたことではないでしょうか。
台湾は、一般に親日的といわれておりますが。
過去の歴史において、台湾原住民は、太平洋戦争中抗日ゲリラとして1907年「北浦事件」、1930年「霧社事件」により多くの戦死者がでており、決して親日とは言えない部分があります。
その台湾原住民を積極的に描いた「塩月桃甫」。
そこに、政府の要請で派遣された者でありながら、芸術家として戦争とその犠牲者に対する、彼の姿勢が感じ取れます。
魅力にあふれた国台湾
映画に出てくる台湾は、実に魅力的です。
南国の解放感にあふれ、何処か行ったことがないのに、懐かしさを感じてしまう不思議な国。
何かと中国との関係で、物議をかもすことが多いですが。
国民の多くは、自由主義を謳歌できる現体制を支持。
この国に懐かしさを覚えるのは、台湾統治時代の日本式家屋が残っているのもその一つか。
それと、住みやすさというか、幸福度のランキングでも上位にある台湾。
日本が、その繁栄に陰りを見せているのとは対照的に。
成熟した国家としての豊かさを感じる台湾。
決してここまでは、平坦な道のりではなかったはずですが。
太平洋戦争後、蒋介石が国民党を引き連れて台湾を支配。
人口比率で行けば、以前から台湾にいた中国人が85%、国民党と共に台湾に渡ってきた中国人が15%。
その国民党による、締め付けが行われた、白色テロの時代。
台湾が、自由な言論を認めるのは、李登輝総統以降。
やっと手に入れた自由を脅かされたくない。
第二の香港になりたくないと国民が考えるのも納得。
良き隣人としての日本
過去の歴史を踏まえて、そうありたいと願う方も多いのでは。
「塩月桃甫」を始め、台湾に関わった日本人は多いはず。
その足跡をたどりながら、今一度台湾と日本どうあるべきなのか。
このドキュメンタリー作品を通じて、思いをはせるのも一考。
まあ、そう難しいことは言わなくても、台湾と言う国の魅力を映像から存分に受けるのもよいですね。
2022年5月にはコンペに出品が決まったとのことですから。
近い将来、映画が公開されることを切に願っております。
コメント