国立映画アーカイブのEUフィルムデーズはなかなかいい企画です。普段触れることのない国々の作品に触れることが出来ます。今回は老いということをテーマとした二作品から、老いを生きるという事を考えてみたいと思います。決して楽しい話題とは言えませんが。
国立映画アーカイブ EUフィルムデイズ
ヨーロッパの最近作を上映する企画。
たまたまなのか、今回はスロヴェニアの『サンレモ』https://himabu117.com/wp-admin/post.php?post=4117&action=editと、キプロスの『老人』と共に老いをテーマとした作品を見ました。
スロヴェニアとキプロス、普段なかなかお目にかかれない国の作品。
ヨーロッパの今をかんがえるのには、いい機会だとおもうのですが。
異国の作品から、なにか私たちの生活のヒントでもさぐれればいいのですが。
今回は、二作品を通して老いと言うテーマを見てゆきたいと。
普段目をそむけがちなのですが、老いは誰にも訪れるもの。
避けられるものや受け入れざる負えないもの、ある意味運命なのでしょうか。
『サンレモ』『老人』妻に先立たれた夫たち
『サンレモ』の主人公は、認知症を発症して、施設で暮らす老人。
記憶は、とぎれとぎれで、過去や現在を彷徨う意識に支配されています。
認知症は、避けようがないといいますか、多少予防や薬があるようですが。
個人差があって、比較的若くして発症する人もいれば。
高齢になっても、比較的頭脳明晰のかたもいらっしゃいます。
映画は、そんな認知症の老人の心と体の彷徨を脚色を少なく追いかけています。
ああ、こういう老後になる可能性も高いなと思うだけで。
これと言って打つ手はないですね。
受け入れるも何も、本人に意思が明確ではないのだから、そうなったらしょうがない。
孤独と対峙する場面になってしまう『老人』
妻に先立たれ、一人暮らしをする主人公。
彼には、高齢だが、認知症はない。
ただ、妻が亡くなりすべてにやる気をなくしている。
信仰もなく、ただ一人孤独な日々をすごす。
その彼が、夜になると大病院に出かけ、そこのソファに横になり夜を過ごす毎日。
当然見かねた看護婦らが、福祉のサービスを受けるようにすすめるのですが、
本人は、かたくなにそれを拒みつづけます。
作品からは、妻を亡くした夫の喪失感がヒシヒシと伝わってきます。
高齢になってから妻に先立たれた夫によく見られる姿ですね。
他人事ではない老後
私の様に、還暦も過ぎると老い支度ではないですが。
自らの老後と言うものをよくイメージします。
まあ、平均寿命といわれるところまで、寿命を全うできたのであれば、御の字なのでしょうが。
できれば、よりよい老後とまではいかなくても、穏やかな老後を過ごしたいのは、みな同じではないでしょうか。
しかし、今回の二作品の主人公の様に、人生は何が起こるかわからない。
また、自らの力では変えられない現実というものもあります。
一つできそうなのは、孤独と対峙しないようにすることでしょうか。
所詮孤独を紛らわしながら生きて行くのが、人生なのですから。
国立映画アーカイブEUフィルムデーズ公式サイト:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/eufilmdays202205/
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